相続コラム

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2025/10/01

IKJ通信 10月号 認知症と遺言書

こんにちは。終活アドバイザーの武田です。 10月に入り、気温も少しづつ下がり、ようやく秋らしくなってきましたね。 毎年夏が長く、秋は短くなっていますが、体調を崩さないように気をつけていきましょう。

さて、今日は遺言書についてです。

兄弟仲が悪く、親に遺言書を書いてもらいたいけど、物忘れがひどく認知症かもしれない。今の時点で有効な遺言書を書いてもらうには、どのような方法があるでしょうか?

結論から言うと、認知症の疑いがある方でも、遺言能力(意思能力)を有している限り、遺言を作成することは可能です。 遺言能力とは、自信の財産や相続関係を理解し、遺言内容を合理的に判断できる能力を指します。 認知症の人が書いた遺言書は「作成時の判断能力の有無」が有効性を判断する重要なポイントです。

【遺言能力の判断基準】

1.医師の診断書があると後々の争いを予防する有効な証拠となります。特に、遺言作成日付時点で「判断力が保たれている」 との診断があると強いです。

2. 遺言内容に合理性があるかどうかも重視されます。極端に不自然な内容(特定の相続人のみを優遇するなど)の場合は 認知症の程度とは別に遺言能力はなかったとされる可能性が広がります。

ただ、これらの条件を満たしていても、認知症の症状が強く現れている場合には、意思能力が否定され、遺言が無効と判断されるばあいもあります。

認知症は進行性の疾患であり、今後さらに認知能力が低下することが予想されるため、遺言の作成はできるだけ早期に行うことが望ましいといえます。 

【対策】

・公正証書遺言を作成 →第三者によるチェックがなされるため、認知症の疑いがある場合でも有効性が担保されやすいです。

・遺言作成当日付近の認知症の症状を証明する診断書を残す

・遺言書を合理的かつシンプルな内容にする

・専門家の立ち合いの元で遺言書作成を行う →司法書士・行政書士・弁護士が入ることで形式的な不備やリスクを大幅に減らせます。

・遺言書作成時の状況を録画・録音しておく →作成時の様子を録画し、本人が内容を理解して説明していることを残す。

まとめると、認知症の疑いがある方であっても 「遺言作成時点の意思能力」 が認められれば有効です。 そのためには 公正証書遺言+医師の診断書+専門家への依頼といった対応がよりよいやり方かと思われます。

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